アパートやマンションなどの物件価値を上げるため、"長く住む入居者に充実したサービスをする"「テナントリテンション」が見直されています。
かつては、入居者をどんどん入れ替えることで手数料や礼金をあげる"オーナー"優位の賃貸経営が主流でしたが、現在では賃貸物件の供給が需要を上回り、借主優位の状況であることが背景にあります。
ここでは、これからの不動産経営を安定に導く「テナントリテンション」について解説します。
不動産投資における「テナントリテンション」とは?
テナントリテンションとは、入居者に長く快適に入居を続けてもらうための取り組みのことをいいます。
テナントは「入居者・借主」、リテンションは「維持、保持」といった意味を持ち、「既存顧客を第一に考える」という考え方を活かして、効率的で安定した賃貸経営を目指します。
具体的な例をあげてみましょう。
賃貸物件において空室が出ると、新しい入居者を募集するため、温水洗浄便座やエアコンを取り替えたりすることがあります。
しかし、空室が長くなると家賃を下げて募集するケースもあり、安い家賃の入居者に新しい設備を提供することは効率的ではありません。
そのため、長く住んでいる人を優先して新しい設備に入れ替えることで、入居者の満足度を高め、より長く住み続けてもらうことができるというわけです。
新しい賃貸物件なら入居者募集も比較的容易ですが、物件が古くなってくると空室リスクが高まるため、古い物件ほど「テナントリテンション」を取り入れることをおすすめします。
不動産投資においてテナントリテンションがもたらす効果とメリット
空室リスクを軽減できる
空室の期間は収入減に直結するので、経営的には避けたいところです。
入居者が長く住んでくれれば、空室リスクを軽減できます。
家賃を高く維持できる
一般的に、賃貸物件の賃料は新築時が最も高く、物件が古くなるにつれて下がっていく傾向があります。
したがって、新築時からの入居者の賃料は高いため、長く住んでもらうほど収入が安定することになります。
原状回復費用を軽減できる
入居者が入る前には、クロスや床の張替などのコストがかかります。
しかし、入居者の入れ替えがないことで、原状回復工事などの費用を削減でき、空室リスクも回避できます。
入居者募集費用がかからない
仲介手数料や広告宣伝費などの費用は、入居者募集には必須です。
しかし、長く住み続けてもらうことで入居者の入れ替えがなくなり、募集費用もカットできます。