宅建(宅地建物取引士)は不動産業を営む上で重要な国家資格であり、毎年20万人前後が受験する人気資格です。
しかし、宅建資格は不動産投資をする際も必要なのでしょうか。
ここでは、宅建業法を検証し、不動産投資における宅建資格の必要性や意義について解説します。
不動産投資家が宅建資格を持つ必要性はある?
不動産投資を行うという点では、宅建資格は必要ないという意見が一般的です。
しかし、宅建資格を持たずに不動産投資を行うことは、まったく違法ではないとはいえません。
そこには「不動産賃貸業」と「宅建業」という2つの業務が絡んでくるので、それぞれの違いを知っておく必要があります。
「不動産賃貸業」と「宅建業」の範囲とは?
大家として物件を第三者に貸し出す行為は「不動産賃貸業」となり、「宅建業」からは除外されています。
したがって宅建業法の影響を受けることはなく、違法でもありません。
しかし、不動産投資の中には不動産賃貸業の枠を超えて、宅建業に該当しているケースがあります。
宅建業の定義の中に「利益を目的とする取引」「転売するために取得した物件の取引」「取引の反復性継続」という部分がありますが、これらは不動産投資にはよくある取引パターンです。
つまり、投資として利益を追求し、転売を含め取引を繰り返す行為が宅建業に該当することになり、無免許営業により罰則の対象となる可能性があるのです。
したがって、投資としてこのような取引をする人は、宅建資格が必要になります。
不動産投資家が宅建資格を持つとこんなメリットがある!
重要事項説明書の内容が精査できる
賃貸契約などの際、必ず説明の義務がある重要事項ですが、この中には多くの専門的な情報が盛り込まれており、理解が難しいものもあります。
宅建資格があれば、内容を理解したうえで不利な情報がないかなど 的確な判断ができるので、自分に不利な取引にならないよう対策しやすくなります。
知識を活用して物件の状態を確認できる
物件を買い付ける前に、物件概要書を見ながら法令上の制限がきちんと適用されているか、建築基準法に違反していないかなど、自らチェックできるのは大きなメリットでしょう。
取引の際の信用度が高くなる
売り主、仲介業者、金融機関などさまざまな取引先が関わる売買において、宅建士の資格があると"専門家"として信頼度が上がり、取引を優位に進められる可能性もあります。
不動産業を開業できる
宅建業免許を取得し、法人として不動産取引業を開業することもできます。
そうすると、仲介を依頼していた物件探しや売買を、自らが不動産会社として行ない、仲介手数料を利益として受け取ることができます。