株式投資で売り時を示す「デッドクロス」や、買い時を示す「ゴールデンクロス」といった言葉を聞いたことがあるでしょうか。
実は、不動産投資においてもこのデッドクロスという言葉が使われます。
今回は、株式投資とは少し違う不動産投資のデッドクロスについてくわしく見てみましょう。
不動産投資を始めたいと考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。
黒字なのに破産することもある?不動産投資のデッドクロスとは
デッドクロスとは「減価償却費の恩恵よりも、ローン元金返済の負担が大きくなること」を指します。
減価償却費とは、固定資産の取得費用をその耐用年数に応じて分配し、複数年にわたって経費として計上するための勘定科目のことです。
つまり、不動産における減価償却費の恩恵とは、何年かにわたって経費を計上し続けることで、その間の利益を減らし税額を抑えることにほかなりません。
この減価償却費を計上できる期間は、建物の耐用年数などによって異なります。
減価償却費を計上できる期間を越えてしまうと節税の恩恵が受けられなくなり、利益の急増によって税金の支払いが苦しくなるケースが多発するのです。
また、デッドクロスが発生するのと同じ時期に、ローン返済でも思わぬ負担が発生することもあるかもしれません。
元利均等方式を利用してローンを借り入れた場合、数年後には経費計上できる「金利返済」の割合が減り、経費計上できない「元金返済」を迫られることが考えられます。
こうした想定外の資金繰りの悪化により、最悪の場合には、家賃収入での利益があり黒字にもかかわらず、破産してしまうといった事態も起こり得るのです。
安心して不動産投資を始めよう!デッドクロスの回避法とは
ここでは、不動産投資を始める前に覚えておきたいデッドクロスの回避法を3点ご紹介します。
1つ目は、ローンの返済方法を「元金均等返済」にすることです。
元金を毎月一定額返し続けていくこの方法ならば、減価償却がなくなるのと同じタイミングで発生しやすい、元金返済によるダメージを軽減する効果があります。
2つ目は、不動産取得時やローン返済時に、頭金や繰り上げ返済など自己資金を多く投入し、借入期間を短縮することです。
一般的に、建物の耐用年数よりも長いローンを組むとデッドクロスが発生するため、借入期間の短縮はデッドクロス回避に有効な手段となります。
3つ目は、築年数の長い中古不動産は、短期間での運用を心がけることです。
減価償却できる期間が終わる前に売却してしまえば、デッドクロスを回避できるでしょう。
また、長期譲渡取得となる5年以上の所有を待って不動産を売却すれば、さらに税金が抑えられます。