不動産投資のひとつに、日本ではあまり耳なじみのない「セラーファイナンス」があります。
おもにアメリカにおける中古物件取り引きで利用されている、住宅購入にともなうローンの融資方法です。
通常、住宅ローンの借り入れ契約は金融機関と交わすのが一般的ですが、物件オーナーが買主の直接の融資元となることをいいます。
具体的なシステムと、日本国内のセラーファイナンスについてご説明します。
不動産投資における「セラーファイナンス」とは
セラーファイナンスは、クレジットポイント(信用度)が低く、銀行をはじめとした金融機関から住宅購入資金の借入ができない人などが購入代金の全額、もしくは頭金など一部を売主から借りて売買をおこなう融資システムです。
不動産投資の面からみたセラーファイナンスは、住宅価格そのものを相場より高めに設定できます。
さらには一般の金融機関より利息を高めに設定することやローン返済期間決定の自由度も高いので、ある程度の計画性をもって利息収入を見込めるのがメリットです。
また、一般的に返済が滞った場合の退居義務と、入居時や途中の修繕費を購入者負担にすることも契約に含まれます。
購入者が退居せざるを得ない状況に陥ったとしても、売却時よりむしろきれいで価値の上がった状態で再び次のセラーファイナンス契約をおこない、利益に結び付けることも可能です。
そうした条件から、セラーファイナンスは売却・融資するオーナーに有利なシステムであり、不動産投資であるといえます。
日本国内における不動産投資としてのセラーファイナンス
セラーファイナンスは日本においても不動産投資として徐々に活用され始めています。
日本でセラーファイナンスを利用する買主側の利用者の多くは「フラット35」の契約条件にも該当しない住宅購入希望者です。
「フラット35」は、正社員か否かや勤続年数、就業形態にかかわらず一定の要件を満たせば利用可能なため、これにあてはまらないということは購入者の条件としては少々厳しいといえます。
ただし、不動産投資をおこなうオーナー側からみれば、アメリカと同様に返済滞納の際の退居や修繕費の購入者負担といった諸条件を契約内容に盛り込めますので、自身のリスクよりメリットのほうが大きいといえるでしょう。
反対に、融資を受ける利用者は頭金を借りる程度に控えるなど、先を見据えたセラーファイナンス利用方法の検討が必要といえます。
アメリカに比べ、地方などでは中古物件の価値が下がりやすい傾向にあるため、将来的に売却する必要がうまれた場合でも、残債が売却額を上回ってしまう可能性があるからです。