不動産投資は個人事業としておこなったほうがいいのか、それとも法人化したほうがいいのか、迷っている方も多いのではないでしょうか。
これから不動産投資を始めようという方も、すでに始めている方も、法人化のメリットとベストなタイミングを正しく知って、今後の不動産投資に活かしましょう。
不動産投資の法人化にはどんなメリットがある?
不動産投資を法人化することによるもっとも大きなメリットは、なんといっても個人事業主と比べた場合の税率の低さです。
個人では、所得税の最大45%に住民税10%が加われば税率は55%にも達します。
比べて、資産管理会社を設立して法人化した場合の法人所得税は23.2%(資本金1億円以下の場合)とかなり低く、これに法人住民税などを加えた実効税率でみても、最大で30数%台とあきらかに負担が軽くなります。
近年の税制改正による個人の所得税増加傾向に対して、法人税率は逆に軽減されていることがその背景にあり、不動産投資をするうえで法人化が有利にはたらく大きな要因となっているわけです。
また、法人に求められる厳格な会計処理と資金管理から生じる社会的信用によって、金融機関からの資金調達や投資型クラウドファンディングの活用なども容易に可能となり、事業拡大に向けた窓口を広げることにもつながります。
さらに、将来発生するであろう相続税の節税対策としても有効です。
所有する不動産が法人名義であれば、相続人が役員として事業を引き継いだり、報酬という形で得たりすることによって、贈与税を支払うことなく財産を移譲することができます。
ほかにも、自動車の購入維持費や代表者・役員の保険料が控除上限なく経費計上できるなど、経費として認められる幅が個人とは大きく異なります。
赤字決算の際の損金繰り越しも、個人の青色申告では最大3年の猶予に対し、法人の場合は最大9年と3倍の期間が与えられ、減価償却の自由選択など、さまざまな面でメリットが期待できるのです。
不動産投資法人化に最適なタイミングはいつ?
一般的には、個人の税率が法人税率を上回る「所得900万円」を超えたタイミングで法人化するのがよいと言われています。
これは、課税所得金額が900万円を超えて税率が33%になると法人税率を上回ることがその理由です。
ただし、課税所得には不動産投資だけでなく給与所得も含まれますから、サラリーマン兼業大家さんの場合は、年収1,000万円から1,500万円前後が法人化への目安といえるでしょう。
一方で、不動産投資の初期から複数の物件を購入・活用し、その後も事業拡大を図る場合などは、事業実績となる決算書の早期作成が金融機関への信用を作ることにもなるので、当初からの法人化がベストなタイミングともいえます。